40年の住宅ローンのメリット・デメリット!どんな方におすすめ?
こんにちは。COZYの越智です。
これまで家を購入する際の住宅ローンといえば35年ローンが主流でしたが、最近は40年ローンを検討する方が増えています。
選択肢としてはだいぶメジャーになってきたといっても良いくらい。
「でも、利息を払う期間が長くなる分、支払総額が増えるのでは?」と心配する方もいると思いますが、考え方によっては有利になるケースもあるんです。
皆さんが安心して資金計画を立てられるように、40年ローンのメリット・デメリットを説明するとともに、35年ローンと比べて返済額がどう変わるかについても見ていきましょう。
40年の住宅ローンとは?返済額も比較してみよう!
これまで最長35年の全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」を利用する方が多かったので、「住宅ローンの返済期間は35年」というイメージが定着しているのではないでしょうか?
ですが最近は、「40年ローン」を視野に入れて資金計画を立てるケースが増えてきています。
COZYでよくお取引する北洋銀行さん、北海道銀行さん、北海道ろうきん(北海道労働金庫)さんなどといった金融機関独自のローンは、最長40年の返済期間の設定が可能です。
ローン期間を長く設定することで月々の支払額は抑えられますが、「延長分の利息を多く支払わなければならないのでは…」と思いますよね。
それはその通りなのですが、将来的に収入が上がって、あるいはお子さんが巣立って経済的な余裕ができたら繰り上げ返済をしようと考える方もまた増えているのです。
住宅ローンは、最初に35年に設定してしまうと後から40年に延ばすことはできませんが、40年にしておいて35年で完済する分には何の問題もありません。
そのように返済方法の選択肢を多く持つという意味で、40年の住宅ローンを選ぶ方もいらっしゃいます。
35年ローンと40年ローンの返済額の比較
では実際に、35年のローンと40年のローンを期限いっぱいまで返済した場合の金額を比較してみましょう。
金利は今後上がるのではと見られていますが、2024年5月時点の数字です。
また、俗に「ゼロカーボン金利」といわれているのですが、金融機関によってはZEH(ゼッチ)などの高性能な住宅に対して住宅ローンの金利を下げてくれるという優遇策をとっているところもあります。
COZYもZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)という基準をクリアしていますので、ゼロカーボン金利でも試算してみましょう。
ゼロカーボン金利の例として、1年目は0.68%、2年目以降は変動金利が使えますが、ここは35年ローンと条件をそろえて4年目以降0.975%としてやってみますね。
改めて、シミュレーション条件をまとめると以下の通りです。
- 借入額:4,000万円
- 金利タイプ:
・3年固定金利(〜3年目/金利0.7%、4年目以降/金利1.175%)
・ゼロカーボン金利(1年目/金利0.68%、4年目以降/0.975%) - 返済方法:元利均等返済
【35年住宅ローン】
- 3年目までの月々返済額:10万7,408円
- 4年目以降の月々返済額:11万5,467円
- 総返済額:4,820万5,868円(うち利息820万5,868円)
<ゼロカーボン金利が適用される場合>
- 3年目までの月々返済額:10万7,047円
- 4年目以降の月々返済額:11万1,998円
- 総返済額:4,686万832円(うち利息686万832円)
【40年住宅ローン】
- 3年目までの月々返済額:9万5,567円
- 4年目以降の月々返済額:10万3,832円
- 総返済額:4,954万1768円(うち利息954万1,768円)
<ゼロカーボン金利が適用される場合>
- 3年目までの月々返済額:9万5,203円
- 4年目以降の月々返済額:10万273円
- 総返済額:4,794万8,281円(うち利息794万8,281円)
こうして35年と40年とで比べてみると、どちらのパターンでも40年ローンの方が月々の返済額を1万円ほど抑えることができます。
年齢を重ねて収入が上がったり、子育てが落ち着いたりするまでは「返済期間40年の住宅ローンのほうが月々の負担が小さくて助かる」という考え方ですね。
代わりに支払総額は40年ローンの方が100万円以上高くなるのですが、例えば昇給が見込める15年目あたりから毎月3万円程度貯めていくとすると、35年目には繰り上げ返済できるでしょう。
住宅金融支援機構のフラットに関しても、実は2009年から「フラット50」といって返済期間36~50年のローンが存在しています。
金融機関にもよりますが、一般の金融機関で40年の住宅ローンを組む場合の利用条件は35年とさほど変わりありません。
でも、フラット35とフラット50で比較する場合は、申し込み時の年齢上限や適用される金利の幅が異なる、長期優良住宅を対象とするなどといった違いが出てきます。
なお、住宅ローンの金利を変動か固定かでお悩みの方は、「住宅ローンの変動金利の仕組みは?固定金利との比較、選び方も」も参考にしてみてくださいね。
40年の住宅ローンのメリット・デメリット
35年の住宅ローンと比較して、40年の住宅ローンのメリット・デメリットについて考えてみましょう。
40年の住宅ローンのメリット
40年の住宅ローンのメリットを3つご紹介します。
①月々の支払いが安くなる
先ほど試算したように、同じ金額を借りたとして、35年(420カ月)と40年(480カ月)とで分割すると、期間が長いほうが金利を余分に支払う必要があるとはいえ、1カ月当たりの支払いを軽減することができます。
「返済額を少しでも抑えておきたい」と考えるなら、40年の住宅ローンを選択肢に入れてみてくださいね。
②団体信用生命保険を長く付けられる
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン返済中に契約者が死亡または高度障害状態となった場合に、ローン残額の支払いが免除される仕組み。
銀行さんの団信はガンと診断された場合にも適用されるなど手厚い保障が付いていることが多いので、あえて40年の住宅ローンを組むことで保険適用期間を長くしたいという方もいます。
若いオーナー様でも「年を取れば取るほど病気のリスクが高まるから」と、将来の健康リスクを考えて40年のローンを選ぶ方が増えてきています。
「住宅ローンと団体信用生命保険はセット!生命保険も一緒に見直そう」もご参考ください。
③返済方法の選択肢が増える
住宅ローンは一度契約してしまうと、後から返済期間を延ばすことができません。
長い人生、何が起こるかわかりませんから、「返済がちょっと厳しくなってきたな…期間を長くして月々の返済額を下げておけばよかった」と思うときがくるかもしれません。
逆に、契約時に設定した期間より早く支払いを終えること(繰り上げ返済)は可能です。
最初に返済期間を長めに設定しておけば、収入が増えて余裕ができた場合に予定より早く完済するという選択肢が増えるのです。
40年の住宅ローンのデメリットは?
35年と比べると40年の住宅ローンは5年分(60カ月分)、金利を多く支払わなければなりません。
ただ、これに関しては、5年早く繰り上げて返済することを前提として考えると35年ローンを組んだ場合と変わりありません。
ローンを組んでから30年経つ頃には年収が上がり、お子さんが巣立って養育費や教育費もかからなくなっていることでしょう。
5年以上の繰り上げ返済も難しくなさそうだと想像できます。
40年ローンを利用すると総返済額は100万円以上増えてしまいますが、月々の返済額が1万円ほど安くなるので、月々の返済額を抑えたい世帯にはうれしいですよね。
今は選択肢も多く、無理のない返済計画で自分のお家を持つことができる時代です。
特に、これからお子さんが生まれる、または元気いっぱいの小さいお子さんがいらっしゃる世代の方は、「賃貸だと周りに気を遣うので…」と、ご相談に見える方が多いです。
きっと、コラムの読者のみなさんの中にも同じ悩みを抱えている方がいらっしゃるはずです。
お金のことで不安もあるかと思いますが、「まだ収入が低いから」「しばらくは子どもにお金がかかるから」と諦めてしまう前に、まずは一度ハウスメーカーや住宅会社に相談してみてくださいね。
奨学金返済中の方でも住宅ローンは組むことができますよ!
ぜひこちらのコラムもご覧くださいね。
奨学金返済中でも住宅ローンは組める!その影響や注意点を解説!
40年の住宅ローンはこんな方におすすめ!注意点も解説
40年の住宅ローンはたいてい完済時年齢が80歳までとなっているので、使えるのは必然的に40歳までの方に限られてきます。
だからといって80歳まで払いましょうとか、繰り上げして75歳までにというのは少し厳しい感じがしますから、現実的には30代前半までの若い世代の方にはおすすめして良いのかなと思っています。
特に若いからこそ現在の収入がまだ低く、「月々の返済額を少なくしたい」と考えている方は検討してみると良いでしょう。
注意点として、最近はネット銀行でも住宅ローンを扱っていますが、ネット銀行の場合はまだ35年ローンが最長です。
そのほかにも金融機関によっては40年ローンを取り扱っていない場合がありますので、事前にしっかり確認しておくのがポイントです。
20~30代なら40年ローンのメリットが大きい!
近年、選択する方が増えてきている40年の住宅ローン。
35年の住宅ローンと比較した場合、40年の住宅ローンでは月々の返済額を抑えることができるうえ、団体信用生命保険も長く適用されます。
また、繰り上げ返済という返済方法の選択肢が増えるのもメリットです。
40年の住宅ローンのデメリットは、5年分(60カ月分)の金利を余分に支払わなければならないことですが、繰り上げ返済を視野に入れて計画を立てれば問題は解消されます。
近年の物価高騰、光熱費の値上がりという世情を考えると、40年ローンとゼロカーボン金利の優遇を合わせてお家を持つことは、今のこの時代に合っているように僕は思います。
今はまだお給料が低いからとお家づくりを決断できない20代、30代の若い方こそ、40年ローンを選択肢に入れてみると可能性が広がるでしょう。
お家はとても大きな買い物ですが、住宅ローンとの付き合い方を考えて上手に使えば、家族それぞれの趣味やレジャーも楽しみながらきちんと返済していくことができます。
資金計画に不安がある方は僕たちにご相談いただければ、それぞれの事情を踏まえつつ親身になってアドバイスさせていただきたいと思っています。