新築住宅を建てる時に親から資金援助を受けたら贈与税はかかる?
こんにちは、COZY札幌東ショールームの宇佐美です。
家はとても大きな買い物だけに、新築で家を建てる際に親が援助してくれたら、ホントにありがたいですよね。
でもせっかく親や祖父母からもらった資金に贈与税がかかるケースがあることをご存知ですか?
そこで今回は、新築の資金援助を受ける際に絶対知っておきたい贈与税のあれこれをお話しします!
贈与税はどれだけかかる?
まずは、そもそも「贈与税」って何?という話から。
贈与税は、個人から財産をもらった時にかかる税金です。
普通は赤の他人が財産をくれることはないので、一般的には「両親や祖父母」からもらった財産に対して贈与税がかかる、ということになります。
贈与税の課税方法は、次の2つがあります。
1, 暦年課税
1月1日からの1年間にもらった額の合計が110万円までは贈与税がかかりません。
基礎控除額の110万円を超えた場合は、110万円を引いた残りの額に、一律20%の贈与税がかかります。
例/親からもらった額 500万円
500万円−110万円(基礎控除)=390万円×0.2=78万円
贈与税は78万円となります。
2, 相続時精算課税
1月1日からの1年間に贈与を受けた財産の合計額が2500万円まで、贈与税がかからない制度。
ただしこの対象となるのは、60歳以上の父母か祖父母から「20歳以上の子どもか孫」に対して財産を贈与した場合のみ。
例/親からもらった額 2000万円
2000万円−110万円(基礎控除)=1890万円
最大2500万円まで課税されないので、贈与税は「ゼロ」。
とはいえ2000万円の贈与を受けた事実は残るので、親が亡くなった時にその時点の相続税が加算されます。
ここまで読むと、「え~、資金援助受けると結局かなり税金かかるじゃん!」って思いますよね。
実はもう一つ、ものすごく重要な制度があるんです。
それが「住宅取得等資金の非課税制度」です。
住宅取得等資金の非課税制度って?
両親、祖父母などから、住宅を新築するために資金援助を受けた場合、一定の金額が非課税になる制度です。
この制度を使うと、新築のためにもらったお金は一定の要件を満たした「良質な住宅」であれば1200万円まで、一般住宅は700万円まで贈与税がかかりません。
ちなみにCOZYの家は「良質な住宅」の要件を満たしています。
非課税限度額
「住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日」によって、非課税限度額は変動します。
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契約締結日:平成28年1月1日~平成32年3月31日
良質な住宅:1200万円
上記以外の住宅:700万円
契約締結日:平成32年4月1日~平成33年3月31日
良質な住宅:1000万円
上記以外の住宅:500万円
契約締結日:平成33年4月1日~平成33年12月31日
良質な住宅:800万円
上記以外の住宅:300万円
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新築のために両親や祖父母が資金援助してくれる場合、大抵は基礎控除額の110万円を超えてしまうと思います。
「ウチは110万円以上くれるから、贈与税を払わないとならないのか~」と思っていた人にとって、かなりラッキーな制度です。
ただしこの制度を使うには、いくつかの要件を満たさなければなりません。
非課税限度額の特に注意が必要な要件
・住宅の取得のための贈与で、実際にその資金を住宅の取得に充てていること。家を建てた後に贈与を受けても対象にならないので注意!
・贈与の翌年3月15日までに住宅の引き渡しを受け、同日までに居住しているか、そこに引っ越すことが100%ハッキリしていること。
・贈与の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与の申告を行っていること。「良質な住宅」の申請書類を住宅メーカーに作成してもらい確定申告に行かないと、特例は受けられません!
・贈与を受ける者の年収が2000万円以下であること。
知らないと怖い! 贈与税0円でも申告は必要!
特に気をつけたいのは、「たとえ贈与税が0円でも、必ず申告が必要!!」という点です。
贈与された金額が非課税の範囲内だからといって「申告しなくていっか」と思い込んで何もしないと、後から必ず贈与税が課税されてしまいます。
例えば1200万円の贈与を受けて「良質な住宅」を建てた場合
「住宅取得等資金の非課税制度」を使えば、非課税の限度額内なので贈与税は0円。
でも贈与税の申告をしないと特例が受けられないので、
1200万円−110万円(基礎控除)=1090万円×0.2=218万円
なんと後から218万円もの贈与税が課税されてしまうんです!
これって本当にコワイです!
または、「贈与を受けたなんてバレないよね」と申告を怠ると…税務署に速攻で見破られます。
贈与税の申告期限内に、必ず申告してくださいね。
直系ではない人からの贈与は非課税枠が適用されない
住宅取得等資金の非課税制度、もう一つの注意点。
それは、贈与を受けるのは「子か孫(直系)」が条件である、ということ。
例えば僕の名義で住宅ローンを組んで、妻の両親から資金援助があったとします。
僕と、資金援助してくれる妻の両親とは血のつながりがないので、この特例は使えないんですよ。
「自分の親からもらったお金を、旦那名義の住宅に充てます」という場合は、妻が連帯保証人にならないといけません。
夫が直接もらって住宅資金に…という訳にはいきません。
僕のお客様にも、奥様が親から贈与を受けたお宅がありました。
その時は、ご主人は自分の年収でローンを組み、奥様が連帯保証人になり親から援助してもらったお金を自己資金に充てています。
住宅取得時の贈与税非課税制度は、先を見据えて選ぶこと
人から贈与を受けると贈与税がかかりますが、新築を建てるために両親か祖父母から受けた贈与には非課税枠があり、限度額の範囲内であれば税金がかかりません。
使える制度は、「相続時精算課税制度」と「住宅取得等資金の非課税制度」の2つ。
どちらの制度を利用するかは、将来を見据えて決める必要がありますし、一度決めたら変更はできません。
2018年の確定申告は2月16日から1カ月間。申告時には土地建物の契約書や謄本、住民票などさまざまな書類が必要です。
書類の不足が無いか十分に確認して、税務署の窓口で忘れずに手続きしてください。
僕ら営業もある程度のことは調べてお伝えしていますが、大事なのはお客様自身でもしっかり勉強すること。
大きなお金がかかる新築時。税金で失敗しないように、贈与された資金を大切に使ってくださいね。
2019年10月から施行された消費増税の転嫁措置の一つとして、贈与税の仕組みも見直されています。知らずに損をすることがないよう、新しい知識を身につけましょう。